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●台湾、樹徳科技大学人類性学研究所長・林燕卿
台湾の性教育の現状と発展は4段階に分けられます。啓蒙期、展開期、性科学の発展期、性教育のプログラム期です。81年から88年は、新聞雑誌などが性に関する知識を掲載するという方法で性教育が展開されました。次に民間機関が設立されて性教育がスタートしました。
つまり、91年の5月に台湾に性教育協会が設立され、98年までに性教育が広く展開されました。いくつかの大学で性科学、ジェンダーに関する研究室が設けられました。次に、それらの研究が盛んになります。01年には樹徳大学に人類性科学研究所が設立され、05年には博士課程が設けられ、さらに性教育、性に関する相談、性と社会をテーマに教育を始めました。
性教育プログラムを説明します。68年から台湾において9年間の義務教育が実施されました。そして健康教育との名称で、小学校5、6年を対象に性教育がスタートしました。内容は思春期、異性、家族について、中学校では生殖、保健、家族計画についてが中心になります。
次に、性教育が直面している4つの問題を紹介します。かつては異性愛を前提にした禁欲主義が中心で、性の権利に関する教育は欠如していました。性的な差別については説教調であり、十分な効果がありませんでした。性感染症や妊娠についても、性行為をしないというのが教育の中身でした。これらは2000年までの教育方針でした。
01年になって、個人的には、子供のそれぞれの時期に合わせた教育を採用してきました。しかし人々の価値観はさまざまであり、それらの考え方を融合させる時期になってきたのではと思います。性教育を展開するにあたっては、教師の育成が非常に大切です。現在、台湾の法律では、教職課程では年間18時間の授業を受けます。しかし質の問題だけでなく量の問題も大きく、教師の不足は明らかで、全国では20万人の講師が必要となります。さらに、教育方法を教えるだけでなく、教師本人の性に対する態度、観念が大事になっていることを強調したいと思います。
●中国・北京、首都師範大学性健康教育研究センター長・張玫玫
中国で青少年期対する性教育が始まったのは90年以降です。本日のお話しのテーマは中国の性教育の今後のあり方についてですが、現在の教育内容を簡単に語れば、人々がよき男性、よき女性になる、そのための性教育です。
何をもってよき男性、よき女性とするのでしょうか。まず心と体の健康であり、性的機能も正常であるということであり、そして「自信」です。それは自分自身の性的な特徴を受け入れて、それを魅力として表現できることでもあります。さらに、性別の役割、自分の役割が周囲の人にも歓迎され、人間関係に調和が取れることです。
性教育の実際としては、まず問題に突き当たってから教育することにあります。あまり早くにはふれない。それは性的な意識を目覚めさせてしまうからです。特に女子の婚前の性行為をなくすことにより、生涯にわたっての幸せな結婚生活ができるという考え方があります。さらに、エイズなどの性感染症の予防を口実に、青少年を脅して性行為から遠ざけるという考え方があります。
これらの背景には中国の封建社会における性倫理・道徳があります。婚前性交がなく、一生涯同じ夫婦で過ごす。セックスパートナーも生涯一人ということでもあります。西洋的なヒューマニズム、精神分析などの理論を受け入れ、性というものが本能であるとは受け入れますが、心理的にも生理的にも未成熟な人々は新しい生命を育むことはできないと考えられ、少女の妊娠には断固として反対するといった基本的な考えがあります。
中国における性教育の普及はまだまだ不十分であり、それが実施はされていても効果が明らかではないという問題もあります。
●香港家庭計画指導協会教育組主任 李明英
香港の性教育の状況をご報告します。香港では、まだ独立した性教育カリキュラムはありません。86年に教育局がガイドラインを示しました。そこでは理論的なことだけで実際に性教育を行うかどうかは各学校にまかされていますそこで、たとえば小学校では「常識科」の中で、中学では「道徳」や「公民科」の中で性教育が行われてきました。
しかし保護者や教員にはタブー視も多く、青少年は知っていることが少なければ少ないほどよいとする考え方があります。もちろん性教育の重要性を認識している方もたくさんいるわけですが、どこから手を着けてよいのか分からない状況にあります。
その一方で、メディアには性情報が氾濫しています。多くの青少年は保守的であっても、一部は活発です。かれらが関心をもつのは、望まない妊娠、リプロダクティブ・ヘルス、緊急避妊、セクシュアル・ハラスメント、性感染症などです。どのようにニーズを満足できるでしょうか。それをみなさんと一緒に考えたいと思います。青少年も性的な存在であることを理解する必要もありますし、かれらの意見を聞かねばなりません。実際の生活に即して、たとえばコンドームをどう使うかといったことも必要です。
次に私どもの協会の性教育原則を紹介しますと、選択する権利が大切です。いろんな情報を与えて選択させる。そして自己決定に関する責任をきちんと取らせる。また決定するための分析能力をつけさせることも大切です。教育は双方向的であるべきで青少年も自分の意見を述べるように。教材の工夫も大切。
私たちの組織は香港で最大かつ最も長い歴史をもちます。おもな業務は3つあり、第一線での講座の開催、関係者の研修、そしてリソースを発展させることです。活動の対象は青少年だけでなく、保護者、教員など多岐に渡ります。社会の性教育への認識を高めさせることも重要な課題となっています。
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